授業概要

シラバスより転載


講義題目(Course Title)

現代中国の政治と社会:10年先を予見する

授業の目標、概要(Course Objectives/Overview)

中国が、世界的な注目を集めている。昨年2011年のヨーロッパ通貨危機の際に、多くのEU諸国が中国の協力を期待し、中国もこれに応えた。同年開かれた東アジアサミットでは、南シナ海の管理をめぐって、アメリカやアセアン諸国が中国への警戒感を示し、激しい外交交渉が行われた。
 注目は中国内部にも向かっている。拡大する格差が社会不安を生みだすのではないかという声も強い。台頭する中産階級が言論の自由を求めつつあり、これが民主化要求の勢力になっていくだろうとする予想もある。このように、中国の現在や未来をめぐっては、さまざまな視点が交錯し、評価も毀誉褒貶が共存する。
 本ゼミナールでは、「政治(学)」と「社会(学)」からアプローチすることで現代中国を理解することを目標とする。参加学生は、統治機構や格差、ナショナリズム、日中関係など、毎週異なるテーマに取り組み、所定の本を読みこんだ上で報告・討論に参加することが求められる。こうして報告・討論を積み重ね、批判的な視点から議論を組み立てる方法を学んだ上で「10年後(2022年)の中国」を予想するレポートを執筆する。このように、多様な中国の現実を捉える方法を学ぶとともに、具体的なデータを用いて中国の政治や社会を理解する技術・理論を習得することを目標とする。
 なお、レポート提出者全員に、10年後、再び本ゼミナールに集まってもらい、誰の予想がもっとも正しかったか、そしてそれはどうしてだったのかを検討する「10年後ゼミ」も計画している。大学を卒業した後も、担当教員との連絡を欠かさないでほしい。

授業のキーワード(Keywords)

現代中国、政治(学)、社会(学)、予見

授業計画(Schedule)

(1)4月11日(高原・園田) 

(2)4月18日(園田) 
 文献 読売新聞中国取材団『メガチャイナ』中公新書、2011年

(3)4月25日(高原) 
 文献 田畑光永『中国のしくみが手短にわかる講座』ナツメ社、2003年

(4)5月 2日(高原)
 文献 渡辺浩平『変わる中国、変わるメディア』講談社現代新書、2008年

(5)5月 9日(園田) 
 文献 園田茂人・新保敦子『教育は不平等を克服できるか』岩波書店、2010年

(6)5月23日(園田) 
 文献 園田茂人『不平等国家 中国』中公新書、2008年

(7)5月30日(園田) 
 文献 大泉啓一郎『老いていくアジア』中公新書、2007年

(8)6月6日(高原) 
 文献 加々美光行『中国の民族問題』岩波現代文庫、2008年

(9)6月 13日(高原) 
 文献 高原明生・服部龍二編『日中関係四十年史:政治篇(仮題)』東京大学出版会、2012年(予定)

(10)6月20日(園田) 
 文献 園田茂人編『日中関係四十年史:社会文化篇(仮題)』東京大学出版会、 2012年(予定)

(11)6月27日(高原) 
 文献 劉傑『中国人の歴史観(新版)』文春新書、2012年

(12)7月4日(高原・園田) 

(13)7月11日(予備日)

授業の方法(Teaching Methods)

 初回と最終回を除き、各回報告者を立て、文献について報告をしてもらったうえで、参加者全員で討論を行う。こうした討論を通じて、参加者各人がレポートで取り上げるテーマを絞り込み、最終的なレポートに繋げるようにしたい。報告者以外も文献を読んできたことを前提に授業が進められる。報告者は30分程度でコンパクトに本の内容を紹介するとともに、議論すべき点を取り上げ、自分なりの意見を述べることが求められる。他方、報告を聞いている学生は、報告を批判的に聞き、「突っ込むべきところ」はしっかりと突っ込むことが求められる。担当教員はモデレーター役となるが、できるだけ担当教員が話をしなくてよいよう、参加者は毎回、それぞれ議論すべき「ネタ」を用意してくるように。
 なお参加者や担当教員のスケジュールがあえば、レポート完成後に1泊、どこかで合宿を行って品評会を行うかもしれない。要相談である。

成績評価方法(Method of Evaluation)

 出席、授業への参加、レポートへの評価を総合して評価する。レポートのテーマは「10年後の中国」とし、政治や社会にかかわる具体的な切り口から、現状分析と将来予測をしてもらう。分量はA4サイズ5枚(8000字)程度とし、7月31日までに電子メールで提出してほしい。レポートの内容によって、高原か園田が分担して査読し、評点を与えるものとする。

教科書(Required Textbook)

書名    :10年後の中国:65のリスクと可能性
著者(訳者):高原明生・園田茂人他
出版社   :講談社
ISBN    :978-4-06-214608-1

参考書(Reference Books)

授業計画を参考のこと。

ガイダンス有無(Guidance)

第1回授業日に行う。

履修上の注意(Notes on Registration)

とにかく積極的に参加してほしい。「沈黙は金」ではないので、恥ずかしくても質問をし、討論に参加する姿勢をもってほしい。

学習上のアドバイス(Advice for Prospective Students)

 日ごろからしっかりとニュースをフォローするとともに、「どうして、こんなことが起こるのだろう」と、絶えず考える姿勢をもつように。また、政治学や社会学の古典にまで関心を広げ、その方法論について知っていれば、その応用例として現代中国を理解しやすくなる。興味関心のスコープを広げる努力をしてほしい。

関連ホームページ(Course-Related Websites)

なし

  • 最終更新:2012-05-11 14:32:56

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